【新】狂言台本0:流派成立前


0 流派成立前

ここでは三大流儀確立以前の台本をまとめています。古いものが多く、数も少ないため、様々な説や推定・推測も多いです。
特に天正狂言本は流儀確立以前の最古の台本として多くの書籍で紹介されているので、見かけたことがある方も多いかと思います。
あるものはISBN-13も表記していますので、在庫があれば最寄りの図書館や書店で取り寄せが可能です。

0,1 天正狂言本

0,1,1 年代

天正6(1578)年7月奥書。安土桃山時代。
※しかし橋本朝生氏によって、内容的に大永4(1524)年以降、それをあまり下らないものと推定されている。室町時代後期。

0,1,2 作者

未詳

0,1,3 所収

103番

0,1,4 所蔵

野上法政大学能楽研究所

0,1,5 複製

不明
デジタルアーカイブ:野上記念法政大学能楽研究所能楽資料デジタルアーカイブ天正狂言本(109)
flashが使えれば、翻字・釈文

0,1,6 翻刻

0,1,6,1 「日本古典全書 狂言集・下」

野々村戒三:解説/古川久:校註
1954年 朝日新聞社
●和泉流「川上」が収録されている貴重な一冊

0,1,6,2 「天正狂言本全釈」

金井清光
1989年 風間書房
ISNB-13:9784759907407

0,1,6,3 「天正狂言本 本文・総索引・研究」

内山弘
1998年 笠間書院
ISNB-13:9784305201140

0,1,6,4 「狂言古本二種:天正狂言本 虎清狂言本」

古川久
昭和39(1964)年、わんや書店
CiNii 大学図書館検索ページ

0,1,7 詳細

天正狂言本てんしょうきょうげんぼんは現存最古、狂言三大流儀確立前の狂言台本である。狂言の台本が書写されるまでには長い歴史があり、”演じ捨て”の形から歩て以後固定化が見られるようになったのが室町末期であえい、それが表れているのがこの天正狂言本である。
奥書に天正6(1578)年の日付があるため、「天正狂言本」と呼ばれている。103番所収されているが、〈近衛殿の申状〉をはじめとする約20曲は後代に伝わらず、現在では見られない。類曲にとって代わられたものもあるが、社会体制が下克上の時代から封建時代に変化したため、支配者を批判したり、卑猥な内容の曲を演じられなくなったことも無関係ではないと推測される。
内容は筋書きのような簡単な記述だが、アドリブのきかない歌謡や語リの部分はやや詳しく記されており、明らかに役者の備忘録である。現在では固定化(式楽化)以前の狂言を伝える貴重な資料になっている。奥書には天正6年と記されているが、それより古い室町後期の面影を残しており、橋本朝生氏によって、内容的に大永4(1524)年以降、それをあまり下らないものと推定されている。

0,2 祝本狂言集

0,2,1 年代

不明。江戸初期頃?慶長~寛永初期

0,2,2 作者

未詳

0,2,3 所収

29曲。間狂言を含む。

0,2,4 所蔵

法政大学能楽研究所鴻山文庫(永井猛氏の論文より)

0,2,5 複製

不明

0,2,6 翻刻

0,2,7,1 「『祝本狂言集』:翻刻と解説」

永井猛
1987年 能楽研究:能楽研究所紀要
ISSN:03899616
URL 法政大学学術機関リポジトリ『祝本狂言集』:翻刻と解説

0,2,7,2 「祝本狂言集について:狂言記・他台本との比較から」

大倉浩
2002年 文藝言語研究、言語篇
ISSN:03877515
URL つくばリポジトリ「祝本狂言集について:狂言記・他台本との比較から」

0,2,7 詳細

祝本狂言集いわいぼんきょうげんしゅうは年代・作者ともに不明だが、他台本との内容比較から、天正狂言本と虎明本/天理本との中間に位置付けられると考察されており、流儀分化以前の面影が残っている。天正狂言本と江戸初期の台本にはかなり内容に違いがあるが、その間を埋める台本として資料的価値が高い。
”癖のある独特なくずしで、すこぶる読みにくく、字形だけでは判断が難しいもにが多いが、読みなれてくると一定の調子が感じられることから、かなり文字を書きなれた人物に思われる”とのこと。(永井氏の論文より)
目次にあって本文にない曲もかなりある。旧蔵者であると考えられる祝氏は大阪在住の能楽関係者で、虎明本の形になる以前の大蔵流系統の狂言の様相を伝える台本という可能性もあるが、あくまでも推定であり想像の域である。

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